データで見る不動産市況2018年の動向

不動産市況は日本全体の市況に影響されやすいです。そのため、不動産投資家はもちろん、今から家を売りたいと思っている人も不動産市況は把握しておく必要があります。今回は、そんな不動産市況のデータを紹介し、どのように捉えるべきかを解説していきます。

なお、メインは2018年の動向ですが、その動向を占うためには2017年までの動向・推移を把握することが重要です。

目次

価格推移

まず、価格推移からみていきましょう。価格推移は不動産市況をダイレクトに反応しています。不動産に限った話ではありませんが、モノの価格は全て需給バランスで決まります。つまり、需要が高く供給が低ければ価格は高くなり、逆なら価格は安くなります。特に、高額な不動産は、不況時に真っ先に価格が下がりやすいです。

つまり、価格推移を知っておくことで需給バランスの一端を把握することができるのです。まずは、そんな価格推移について新築・中古を分けて見ていきましょう。

首都圏の新築マンション価格

さて、首都圏の新築マンション価格推移は以下の通りです。

  • 1997年:4,374万円
  • 2002年:4,003万円
  • 2007年:4,644万円
  • 2012年:4,540万円
  • 2017年:5,908万円

また、2018年の上半期(1月~6月)を見てみると、平均価格は1.3%上昇の5,962万円です。平米当たりの単価も87.5万円と、前年同期よりも2.9%アップしているという結果です。

そもそも、上記のように2000年頃から新築マンション価格はほぼ右肩上がりであり、2002年と2018年上半期を比べると約1.5倍まで価格が上がっているという結果です。

首都圏の中古マンション価格

さて、新築以外にも中古マンション価格の推移を見ていきましょう。

  • 2008年:3,128万円
  • 2009年:2,824万円
  • 2010年:2,965万円
  • 2011年:2,979万円
  • 2012年:2,863万円
  • 2013年:2,791万円
  • 2014年:2,851万円
  • 2015年:3,070万円
  • 2016年:3,476万円
  • 2017年:3,577万円

このように、中古マンションの価格は新築マンション価格の推移とほぼ連動しています。というのも、中古マンションの購入を検討する人は新築マンションも並行して検討するケースも多いので、基本的には新築と中古マンションの価格推移は連動するというわけです。

2018年の中古マンションの価格推移は出ていませんが、新築マンションの価格推移と連動しているであれば、2018年も上昇している可能性は高いです。仮に上昇していなかったとしても、ほぼ同じや微減程度でしょう。

ここまでの新築・中古の価格推移をみて、2018年もなお価格が上昇していることが分かります。

首都圏マンションの契約率

さて、次に首都圏のマンション契約率をみていきましょう。価格もそうですが、基本的には首都圏のデータを見ていきます。ただ、近畿圏や地方圏もほぼ同じ推移を辿っているので、首都圏の推移を見れば全体的な推移が分かります。

契約率とは?

契約率とは、新築マンションの初月に契約した割合です。新築マンションは一度に複数の部屋を販売しますが、一度に全戸を販売するわけではありません。というのも、全戸を販売してしまうと、「低層階だけ売れ残った」や「西向きだけ売れ残った」などの状況になります。

そうすると、全戸完売までに時間がかかるので、少しずつ販売するというわけです。そして、初月に販売する戸数は大体8~9割ほど成約できる戸数を出します。つまり、初月の契約率が低ければ、購入希望者の意欲が低いということです。

その意味で、マンションの契約率はマンション購入者の意欲を表しているということです。

契約率の推移

さて、そんな新築マンションの契約率は以下の通りです。

  • 2010年:78.4%
  • 2011年:77.8%
  • 2012年:76.3%
  • 2013年:79.5%
  • 2014年:75.1%
  • 2015年:74.5%
  • 2016年:68.8%
  • 2017年:67.3%

契約率は70%が境目となり、「意欲が高い・低い」の指標となります。上記のように、2016年頃から意欲が下落傾向であり、2018年も契約率は0.6Pダウンの66.7%です。

つまり、ここまで解説した価格および契約率に関していえることは、マンション価格は上昇しているものの、少しずつ契約率(意欲)は落ちてきているということになります。

供給戸数について

次に、マンションの供給戸数を見ていきましょう。

  • 2008年:43,733戸
  • 2009年:36,376戸
  • 2010年:44,535戸
  • 2011年:44,499戸
  • 2012年:45,602戸
  • 2013年:56,478戸
  • 2014年:44,913戸
  • 2015年:40,449戸
  • 2016年:35,772戸
  • 2017年:35,898戸

2018年上半期の供給戸数は5.3%増の1万5,504戸になっています。供給戸数が多いということは、ディベロッパーは「売れる」と見越して強気ということです。ただし、2018年6月末時点の在庫は6,368戸で、前年同期比よりも158戸増加しています。

このことからも、ディベロッパーは強気なものの、やはり少々購入者のマインドはついていっていない可能性があります。

賃料推移

さて、次に物件の売買ではなく賃料を見ていきましょう。以下は、いずれも7月期時点の㎡単価賃料(東京23区)です。

  • 2012年:2,995円(㎡)
  • 2013年:3,097円(㎡)
  • 2014年:3,174円(㎡)
  • 2015年:3,281円(㎡)
  • 2016年:3,305円(㎡)
  • 2017年:3,301円(㎡)

そして、2018年7月期は3,481円(㎡)となっています。つまり、売買と同じように、賃料もほぼ右肩上がりで推移しているということです。つまり、不動産投資家からするとプラス材料になっています。

データから見る今後の不動産市況(まとめ)

さて、色々とデータを見てきましたが、物件の売却・賃貸という観点でまとめます。

物件の売却について

売却についてまとめます。
・新築、中古とも価格は右肩上がり
・契約率は多少下落傾向
・供給戸数が多いのでディベロッパーは強き
・在庫は微増しているのでマインドは低下

このように、価格は高水準ではありますが、少しずつ購入マインドが下がっています。つまり、現在の価格に対して、少しずつ購入者が付いていけていない可能性があります。

言い換えると、いつ購入者マインドが一気に落ち込んで良い状況なので、高水準で売却できる今は売り時といえます。購入者マインドが一気に落ち込むと、価格も大きく下落するリスクがあるのです。

物件の賃貸について

さて、賃料の観点からいっても、右肩上がりの状況が続いています。そのため、不動産投資の観点からも良好といえるでしょう。

ただ、やはり新築・中古のマンション価格を見ると下落する可能性はあるので、その点は注意が必要です。賃料は価格程は下落しませんが、今後物件選びをするときは家賃の下落率が低い物件を、より選別する必要があります。

※参考サイト
・不動産経済研究所
・国土交通省  住宅経済関連データ
https://www.kantei.ne.jp/report/c201809.pdf
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
http://www.kinkireins.or.jp/trend/nenpo/2017/pdf/1.pdf

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