マンション・タワマンの上層階、階が高くなるほど家賃や物件価格が高くなる理由は?相続に関係あり?

マンションの家賃価格や物件価格は上層階ほど高くなる傾向があります。マンションの中には下層階と上層階の家格差が、数10%程度の開きがあることもあります。購入検討者のほとんどは自分の予算の範囲内でなるべく条件の良い物件を選びたいものです。
今回は、階数ごとの家賃や物件価格の違い、またそれによる相続税の違いについてのお話です。

目次

マンション価格・家賃の決め方

マンション売買価格や家賃は「需要」によって異なります。需要が高い部屋であれば家賃も売買価格も高くなりますし、需要の低い部屋であれば家賃も売買価格も安くなります。需要は「人気度」と置き換えた方が分かりやすいかもしれません。

眺望

まず階数による需要で最も大事な要素が「眺望」になります。眺望は単純に階数が高ければ良いというわけではありません。仮に3階部分に電線があったり、ちょうど嫌悪施設が見えたりする場合には、2階の方が安くなる事もあります。大事なのは階数というよりは、その部屋のバルコニーから「何が見えるか」という事です。

しかし、一般的には20階以上のマンションをタワーマンションと言います。そのため、タワーマンションの上層階はさえぎる物がほぼないため、上階にいくにつれて売買価格と家賃は高くなる傾向にあります。

日当たり

つづいての要素は「日当たり」です。日当たりは当然向きが関係してきますので、南向きの部屋の方が売買価格や家賃は高くなります。しかし、向き以外にも「目の前に建物があるかどうか」も日当たりを左右します。

なぜなら、部屋の中の明るさは直射日光が7割と空気の反射である太陽光が3割だからです。そのため、目の前が開けている上層階の方が価格は高くなりやすいのです。

ステータスや地震に対策

単純に「ステータス」という要素も大きいです。50階建てのタワーマンションの最上階に住んでいるとなると、ステータスを感じられます。

また、今では少ないですが、下層階は「地震が起きると良くない」と言われていました。今の構造だとあまり関係はありませんが、昔は上層階のマンション自体の重みが一気に下層階に伝わると考えられていたため、大地震が起きると下層階は潰れると考えていた方も少なからずいました。その名残が特に年配の方は残っているようです。

相続税対策

タワーマンションは相続税対策にもなると言われています。なぜタワーマンションが相続税対策になるかと言うと、実際の購入金額と相続税の評価額に大きな違いが生じるからです。

相続税評価額の算出方法

相続税を算出するための不動産価格の算出方法は、以下のように土地と建物に分かれます。

  • ①建物部分:固定資産税評価額
  • ②土地:路線価を基に算出
  • ③マンション全体評価額:①+②

このように、建物・土地はそれぞれ異なる基準で評価額が算出されます。現金で持っているよりも不動産に換えた方がただでさえ相続税の評価額は小さくなるのに、タワーマンションであれば更にその恩恵が受けられます。

現金で持っているよりも不動産に換えた方が相続税の評価額は小さくなる理由は、固定資産税評価額も路線価も実際に売買される価格よりも小さい額になるからです。マンションにおいての評価額は、土地の部分は入居者全員で、共用で持ち合っているので割合は小さいです。

例えば、1,000㎡の土地に100世帯あるマンションを建てた場合には、1世帯当たりの土地面積は10㎡になります(厳密には持っている部屋の広さで按分します)。仮にその土地が坪20万円(1㎡約6万円)だとすると、1人が所有している10㎡の土地は60万円の評価になります。

何が言いたいかと言うと、マンションの相続税評価を考える上では建物評価額が大切になってくるという事です。しかし、タワーマンションは建物部分の評価額である「固定資産税評価額」は、前項でお話したような眺望や日当たりなどは加味されません。つまり、タワーマンションの上階は「売買価格」は高いけれども、「相続時評価額」は安いという事になります。

タワーマンションの評価額の実例

前項のお話を、具体例を交えて説明します。
例えば、50階建てのタワーマンションが売り出されていたとします。仮にこのタワーマンションの平均坪単価が300万円であった場合には、下層階・中層階・上層階の価格差は以下のようなイメージになります。

  • ①2階~5階までの超下層階:平均坪単価180万円(70㎡換算約3,800万円)
  • ②~15階までの下層階  :平均坪単価230万円(70㎡換算約4,870万円)
  • ③25階前後の中層階   :平均坪単価300万円(70㎡換算約6,350万円)
  • ④~45階までの上層階  :平均坪単価370万円(70㎡換算約7,830万円)
  • ⑤最上階までの超上層階 :平均坪単価420万円(70㎡換算約8,900万円)

つまり、資産2億円持っている人が①の超下層階を購入すれば1億6,200万円が手元に残ります。先ほど言ったように、現金よりも不動産に換えた方が相続税は安いので、3,800万円の不動産分は現金よりは相続税が安くなります。

一方、仮にこの方が⑤の最上階を購入したとします。そうなると、8,900万円の不動産と1億1,100万円の現金が手元に残ります。先ほどの①を購入したよりも評価額が低い(相続税が安くなる)不動産価格の比率が大きいので、節税効果があるという事になります。

相続税について

相続税は上述した通り、建物は固定資産税評価額、土地は路線価から換算された評価額に応じて相続税や控除額が変わってきます。計算式は以下の通りになります。
「課税価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」

つまり、2億円分の資産があり、法定相続人※5が2人いる場合には、
「2億円-(3,000万円+600万人×2人)」となり、1億5,800万円に対して相続税が課せられます。
相続税の詳細については国税庁ホームページ※をご覧ください。

※3国税庁ホームページ 相続税
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4155.htm
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4152.htm

相続税率についてて

相続税の税率は以下の通りです。
74.相続税率

例えば、相続評価額が6,000万円の場合は、
「6,000万円×35%-700万円」となり、1,400万円が相続税となります。

タワーマンションを購入する事により相続税の節税効果を見てみましょう。例えば、前項でお話した下記のケースです。現金を不動産に換えると評価額が3割下落するという想定で計算をしています。

  • 総資産1億円、法定相続人数2人の場合に、①のマンションを購入したケースと②のマンションを購入したケース
  • ①2階~5階までの超下層階:平均坪単価180万円(70㎡換算約3,800万円)
  • ⑤最上階までの超上層階 :平均坪単価420万円(70㎡換算約8,900万円)
  • ①のケース

    現金1億6,200万円、不動産3,800万円:総評価額は現金1億6,200万円+2,660万円(7割評価)
    相続税は((1億8,860万円-(3,000万円+600万円×2人))×40%-控除1,700万円=4,164万円

    ⑤のケース

    現金1億1,100万円、不動産8,900万円:総評価額は現金1億1,100万円+6,230万円(7割評価)
    相続税は((1億7,330万円-(3,000万円+600万円×2人))×40%-控除1,700万円=3,552万円

    このように、1つの物件を購入するだけで約612万円程度の節税効果があるのです。仮に、総資産が数十億円で数戸のタワーマンションを購入した場合には、節税効果は何千万~1億円以上になるケースも少なくありません。
    また、不動産自体の評価額は実勢価格で評価されます。つまり、中古で売り出す時の価格は①であれば3,800万円が基準に⑤であれば8,900万円が基準になります。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。このようにマンションの家賃や売買価格は色々な要素から評価は高くなります。しかし、実は相続税の評価額は上層階も下層階も変わらないため、上層階のタワーマンションは節税効果もあるのです。

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