不動産を売るときに売主がすることは、仲介を依頼する不動産会社選びと、売却活動に協力することです。しかし、そのほかにも災害・事故物件のチェックも忘れないようにしましょう。というのも、最近の購入者は色々とネットで調べてから物件探しをしています。
そんな購入者に対応するためには、売主も同じものを見るしかないのです。そこで今回は、災害リスクと事故物件のチェック方法や、チェックする理由について詳しく解説していきます。
災害と事故物件をチェックする理由
不動産を購入するときは、立地や価格、間取りや周辺環境のように、色々な要素を見極めます。その中で、エリア的に災害リスクはないか?事故物件ではないか?という点も購入者が良くチェックするポイントなのです。
災害と事故物件は妥協しにくい
たとえば、駅徒歩5分以内、70㎡3LDK、築15年以内のマンションを探していたとします。しかし、中々条件に該当する部屋がないときには、駅から6分の物件で妥協したり、築17年のマンションで妥協したりすることも多いです。
むしろ、100%条件に合う不動産を見つけるのは難しいので、何かしらで妥協しているケースの方が多いでしょう。しかし、災害と事故物件は妥協しにくいポイントです。「液状化リスクが高い」「津波による被害リスクが甚大」のエリアであれば、敬遠する人は多いです。
さらに、「事故物件である」場合には、どんないに条件が良くてもNGの人は多いでしょう。そのため、災害リスクと事故物件は事前に調べて、何かマイナス面があれば対策を立てる必要があるのです。
チェックすることで何の意味がある?
では、災害リスクと事故物件をチェックすることで何の意味があるのか?というと、購入者が懸念するであろうことへの対策を立てることができます。たとえば、近くに川があり、大雨による氾濫リスクがあるとします。自分の不動産はかなりの水位まで達するため、被害は甚大であると仮定します。
その場合は、「想定はこのような結果だが、実際に過去70年間で川は一度も氾濫していない」のようなカウンタートークがあればどうでしょうか?人によっては、大きな不安を抱えていたにも関わらず、あまり気にならないかもしれません。
また、同じ物件内で事故死があった場合は、そのマンション全体が事故物件となります。ただし、「高齢者の方が誤って階段から転んでしまった」のような内容であれば、そこまで事故物件に対しての恐怖はないと思います。
もちろん個人差がありますが、いずれにしろ「知っておくこと」で対策できることは事実です。だからこそ、不動産を売却する前は、災害リスクと事故物件のチェックは必須になります。
災害リスクをチェックしよう
さて、災害リスクとは具体的には以下の点です。
- 水害について
- 津波について
- 液状化について
- 地震について
上記については、全て行政のホームページから調べることができます。自分の不動産の購入検討者が調べている可能性があるので、事前にチェックしておきましょう。
水害について
水害リスクは、大雨が降ったときに近くの川が氾濫したり、高低差がある土地で浸水リスクが高かったりするエリアを調べます。調べ方は、「市区町村名 水害(洪水) ハザードマップ」などとネット検索すれば出てくるでしょう。試しに中央区の洪水ハザードマップ※を見ると、周辺に川が多いので洪水リスクが明記してあります。
※中央区 洪水ハザードマップ
http://www.city.chuo.lg.jp/bosai/bosai/kouzuihazard/kozui02.html
津波について
次に津波のリスクです。東京都内の内陸部などは、津波のリスクはあまり関係ありません。ただ、神奈川の沿岸方面などは津波リスクが高いエリアもあるので注意しましょう。特に、2013年に起きた東日本大震災の津波による被害は甚大でした。
この震災での死者は15,884人にものぼりましたが、その大半が津波よるものです。その記憶は、わたしたちの頭の中に鮮明にあるので、津波に関して敏感な方も多いでしょう。調べ方は、「市区町村名 津波 ハザードマップ」などです。中央区のハザードマップ※を事例として紹介しておきます。
※中央区における津波および液状化について
http://www.city.chuo.lg.jp/bosai/kinkyubosai/saigaijoho/tunamiekijouka.html
液状化について
次に液状化についてです。前項の注釈の通り、液状化と津波のハザードマップはセットになっていることが多いです。そもそも「液状化」とは、地面にある水分が地震によって結合し、地盤面が崩れてしまうという現象です。
要は、地盤面がものすごい量の水分を含んだ状態になることで、地盤沈下のような現象が起きてしまいます。東日本大震災では、関東地方の千葉県浦安など海に近く地盤が緩いエリアで液状化が起こりました。
不動産が建築されている土地で液状化が起きると、建物が地盤沈下に巻き込まれてしまうリスクがあります。特に、沿岸部や比較的新しい埋め立て地などは要注意です。
地震について
最後の「地震」についてです。地震についてはどのエリアにもリスクがあり、上述した液状化リスクにも関わってきます。地震については、「市区町村名 建物倒壊危険度」などと検索すると出てくる、「地震に関する地域危険度測定調査 地域危険度一覧表」をチェックすると良いでしょう。
この一覧表には以下の記載があります。
・建物倒壊危険度
・火災危険度
・災害時活動困難度
・総合危険度
このように、地震が起きたときの建物倒壊や火災リスクを数値で表しているので、一目でリスクが分かりやすいです。ここまで見ている購入者は少ないと思いますので、上記の数値が良ければ、これは逆にカウンタートークとして使えるでしょう。
たとえば、水害リスクや液状化リスクが少々高くても、上記の建物倒壊・火災リスクが低ければ、多少不安は和らぐと思います。事例として、中央区の一覧表を紹介※します。
※中央区 地震に関する地域危険度測定調査 地域危険度一覧表
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_6/2cyuuou.htm
事故物件をチェックしよう
さて、次に事故物件について、以下の順番で解説していきます。
- 事故物件とは?
- 告知義務とは?
- 事故物件のチェック方法
事故物件は売却時に致命的なリスクになるので、必ずチェックしておきましょう。確率としては極めて低いですが、知らないうちの自分の住んでいる物件が事故物件になっていることもあり得ます。
事故物件とは?
そもそも事故物件に明確な定義はなく、購入者に「心理的な瑕疵があるかどうか」によって決まります。そのため、一般的には自殺があった物件や他殺があった物件などが事故物件に該当するというわけです。要は、その物件に住むことで「恐怖」や「不安」を感じる過去がある物件を事故物件と言います。
告知義務とは?
告知義務とは、事故物件であることを購入者に伝える義務です。実際には、重要事項説明書にて文書で明記します。ただ、前項のように事故物件の定義自体が曖昧なので、告知義務も曖昧であると言えるでしょう。
たとえば、土地付き一戸建てを売却するときに、その土地の敷地内で3年前に自殺があった場合は、間違いなく事故物件になるでしょう。しかし、それが30年前の出来事だったらどうでしょうか?また、大規模なマンションで「その部屋から離れた別棟」で起きた自殺であったらどうでしょう?
この辺りの告知義務の判断は難しく、不動産会社に相談すると良いでしょう。ただ、不動産会社側も確証をもって判断できないので、最終的には売主が決断します。
事故物件のチェック方法
さて、そんな事故物件は「大島てる※」というサイトが有名です。このサイトは不動産業界では有名なサイトであり、賃貸や売買物件を探している人の中でも知っている人はいます。大島てるを見れば事故物件情報を見られるので、自分の物件は必ずチェックしておきましょう。
※大島てる
http://www.oshimaland.co.jp/
まとめ
このように、不動産を売る前は災害リスクと事故物件をチェックしましょう。今のご時世、ネットで色々なことが調べられるので、購入者も「購入するときに注意したいポイント」のようなサイトを見ているでしょう。
その中で、ハザードマップや大島てるが触れられていることが多いです。そんな購入者に対応するためには、売主側も同じものをチェックしておくべきであり、調べた後は実際に接客する営業マンに伝えましょう。それが、精度の高い営業トークへとつながります。
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