ご存知の通り日本の人口は減少しています。そんな中、「人」が住むことで収益を上げている不動産投資に不安を覚える人もいるでしょう。結論からいうと、人口減少をしていても不動産投資の未来はあります。今回はその点を中心に解説していきます。
日本は人口減少を辿る
さて、日本はどんどんと人口が減少しており、それは今後加速していきます。まずは、実際にどのくらいの人口推移になるかを見ていきましょう。以下が、年代ごとの日本および東京の人口、そして増減率です。増減率は2015年の人口との対比になっています。
西暦 | 日本 | 増減率 (2015年からの対比) |
東京 | 増減率 (2015年からの対比) |
2015 | 12,710 | – | 1,352 | – |
2020 | 12,533 | -1.39% | 1385 | 2.44% |
2025 | 12,254 | -3.58% | 1398 | 3.40% |
2030 | 11,913 | -6.27% | 1394 | 3.11% |
2035 | 11,522 | -9.35% | 1375 | 1.70% |
2040 | 10,642 | -16.27% | 1346 | -0.44% |
2045 | 9,744 | -23.33% | 1312 | -2.96% |
2050 | 8,808 | -30.70% | 1274 | -5.77% |
2055 | 7,856 | -38.18% | 1227 | -9.25% |
単位:万人
このように、日本の人口は2015年と比べて2025年には3.58%、2035年には10%近く減少します。これだけを見ると、人口減によって賃借人(ターゲット)も減るので、不動産投資家にとってはネガティブであることは間違いありません。
しかし、東京の人口を見てみると、実は2035年までは増加しています。また、2045年あたりから減少率も大きくなりますが、日本全体の人口と比べると微減といえるでしょう。2055年になっても、人口としては125万人ほどしか変わっていません。一方、日本全体としては4,850万人ほど減少します。
※総務省統計局 第2章 人口・世帯 2-2都道府県別人口と人口増減率
http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.html
※東京の推移
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.jp/basic-plan/actionplan-for-2020/plan/pdf/honbun4_1.pdf
エリアを選定する必要がある
前項では、日本全体の人口が落ちているとはいえ、東京は2035年は増え続け、その後も日本全体の人口ほどは減少しないことが分かります。これは地方都市にも同じようなことがいえるでしょう。
つまり、投資物件を選定するときは、より人が集まるエリアで物件を購入する必要があるということです。そんなエリアは以下のようなエリアです。
- 駅力が強い
- 大学が近い
- 商業施設が近い
- 嫌悪施設がない
- 室内環境が良い
- 周辺に大型マンションがない
いわゆる「立地が良い」物件は価格も高いです。しかし、いくら価格が高くても稼働していれば収益は上がりますし、逆に空室なら安い物件でも赤字になるでしょう。人口減の状況だからこそ、空室リスクをいかに軽減するかに注目した物件選びが重要になります。
駅力が強い
まず人気の物件の代表格は、最寄り駅が人気であるということです。これを「駅力が強い」といいます。やはり、主な交通手段を電車としている人が圧倒的に多く、駅力が強いことが交通利便性と直結します。また、駅力が強いと周辺の施設も充実するので、商業利便性も高いのです。
大学が近い
また、大学が近いというのも賃貸物件にとってはプラスでしょう。要は、「大学生」というメインターゲットが継続的に入居者として期待できるので、空室リスクが小さいということです。また、大学生の場合は親が家賃を支払うケースが多く、実は家賃滞納リスクも低くなります。
もちろん、今後は人口減の影響で学生の絶対数も減っていくでしょう。ただ、大学が廃校になったり移転したりするリスクは極めて小さく、その意味では大学が近くにあるというのは大きな強みなのです。
商業施設が近い
駅力のところでも少し触れましたが、商業施設が近いというのも大きな強みです。たとえば、近くに大型ショッピングセンターがあれば、その店舗に行くだけである程度買い物は完結します。
つまり、買い物のためにわざわざ遠出する必要がなく、住んでいて楽なのです。ただ、商業施設は民間企業が運営しているので、大学よりも閉鎖や移転はあり得ます。そのため、「商業施設がある」という理由だけで物件選びをするのは危険なので、あくまで物件選びの要素の1つと思っておきましょう。
嫌悪施設がない
人口減になりターゲットが少なくなるということは、相対的に競合物件が多くなるということです。その環境で家賃をなるべく下げずに物件を運用するには、ネガティブな要素を排除する必要があります。つまり、「この物件は嫌だな」と思われる要素の排除です。
その代表格が、嫌悪施設が近くにないということになります。嫌悪施設とは、異音や異臭がする施設や、反社会的勢力などの施設のことです。そのような施設があると、ターゲット少なくなる将来は空室リスクがより高まります。
室内環境が良い
室内環境とは主に陽当たり・眺望のことです。これも前項の「ネガティブな要素の排除」になります。競合物件が多くなっていくと、減点の少ない、なるべく万人に受ける物件が望ましいです。
たとえば、「南向きで陽当たり抜群だけど周辺環境が悪い」よりも、「東南向きで周辺環境は悪くない」であれば後者の方が無難でしょう。ターゲットが減るということは集客(内見者)が減るので、その中でNGと思われない物件が良いです。
周辺に大型マンションがない
周辺に大型マンションがあるということは、そのマンションが賃貸として競合する可能性があります。そうなると、ただでさえターゲットが少なくなるのに、さらにターゲットが減ってしまいます。そのため、物件購入時は「将来的に競合になり得る物件はないか?」をチェックして購入しましょう。
長期間住んでもらう部屋
また、人口が減少するのは事実なので、できるだけ入居者には長く住んでもらう必要があります。そうすれば、家賃下落率も小さく済むというメリットもあるのです。
その点でも前項のエリア選定は大事ですが、ほかにも以下の要素が重要です。要は、ひとえに「住みやすい物件」が重要ということです。
- 断熱性が良い
- 遮音性が良い
- 間取りが良い
断熱性が高ければ、夏は暑い日差しをカットし、冬は寒い冷気をカットします。この辺りは、たとえばリフォーム時に「断熱材を施す」や「窓枠を変える」などでも改善できます。また、遮音性が低ければトラブルリスクが高まるので、こちらも「グラスウールを敷き詰める」などで改善できます。
もちろん、上記はもともと良好であった方が良いですが、上述の通りリフォームなどで対応することも可能です。ただ、間取りだけは変更するのは資金が必要ですし、費用対効果も悪いので、もともと良い間取りの物件を購入しましょう。
良い間取りの判断ポイントは、単純に「自分が住みたいと思うか?」です。具体的には、家具は置きやすい間取りか?動線は使いやすいか?コンセントの位置は使いやすいか?などです。いくら立地が良くても住みにくい間取りであれば退去率は高まってしまいます。
まとめ
このように、確かに日本の人口は減少することで、不動産投資においてはマイナス面もあるでしょう。しかし、エリアをきちんと選定し、長く住める物件であればさほど問題ありません。ただ、物件選びの際は人口減を見越して、上述した点を加味した物件選びをしましょう。