日当たり・窓向き・景観・水回り・床・壁・騒音・周辺施設・治安など、家賃・物件価格査定を左右する要素の総まとめ

不動産を売買する時の「査定価格」や賃貸する時の「家賃」は時期によって変動していきます。何故かと言うと、不動産は経年劣化をしていきますし、使い方によっても劣化具合が異なるからです。また、不動産市況や競合環境などの外部的な要素もあります。
今回は、どんな事が不動産の価値を左右するかというテーマでお話します。

目次

不動産全体市況

まずは、不動産の全体市況です。不動産の全体市況を言い換えると、「日本全体の景気」とも置き換えられます。なぜ日本全体の景気が関係するかと言うと、不動産は「生活する上では絶対に必要なもの」ではありますが、「今絶対に買い換えなければいけない」というものではないからです。

不動産を購入しなくても、新しい賃貸を見つけなくても、生活はできます。今の家に住み続けるという選択肢もありますし、賃貸に住むという選択肢もあるからです。そのため、日本の景気が悪くなれば、真っ先に「買わない」「住み替えない」という選択肢がとられ、需要が低下するのです。需要が低下すると自ずと価値は下がっていきます。

不動産全体市況はどうやって確認する?

不動産全体市況を確認する方法は、国土交通省や不動産経済研究所のホームページ※1を見る事です。例えば、国土交通省ホームページの中には「新築マンション価格推移」という表や「マンション契約率」という表があります。

その表は不動産全体の市況を占う指標になります。例えば、新築マンション価格推移が下がっていれば、マンションの価格水準は低迷しているという事です。勿論、マンションの価格水準が低いという事は査定価格も低くなるという事です。

また、マンション契約率が下がっているという事は、消費者のマインドが落ち込んでいるという事なので、今後の不動産価格は下がる可能性があります。

※1国土交通省
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
※不動産経済研究所
https://www.fudousankeizai.co.jp/

競合状況

不動市況の次に不動産価格を左右する要素は、「競合物件」になります。

周辺事例比較法

不動産の売買価格や家賃相場のほとんどは、周辺事例比較法という方法で算出されます。周辺事例比較法とは、その名の通り周辺の成約事例をピックアップして、そこから不動産価格を算出する方法です。具体的には以下の流れで査定額を算出します。

  • REINS※2などで周辺の不動産事例をピックアップ
  • ピックアップした物件の中で、査定したい物件の条件(駅距離、広さ、築年数など)に近い物件を更に絞り込む
  • 絞り込んだ物件を照らし合わせて自分で補正をかけ、査定額を算出する

査定額が安く算出されるケース

査定額が安く算出されるケースは、周辺に同じような物件が相場より安く出ている場合です。中古物件の販売価格は売主次第なので、売主の事情によっては相場以下で売り出すこともあるのです。特に、売主が早く売らなければいけない事情がある場合には安く売り出される傾向があります。

例えば以下のようなケースです。

  • 新しく新築分譲マンションを購入、そのマンションは3か月後の引渡である
  • 今住んでいるマンションもローンがあるため、3か月後までに売却しなければ、今の家と新しい家の二つのローンを負担しなくてはいけない
  • そのため、相場価格は3,400万円だったが、早く売るために2,900万円で売り出した

このようなマンションが周辺にあった場合には査定額が下がる傾向にあります。仮に、このような物件が周辺にある時に相場価格3,400万円で売り出しても、相対的に「高い」と思われてしまうからです。

このようなケース時には、価格を下げて売り出すか、上記の2,900万円で売り出されている物件が売れるまで、自分の物件を売り出すのを待つケースが多いです。

※2REINS
レインズとは、「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の略称です。レインズは、不動産会社しか閲覧できないネットワークシステムであり、売り出し物件情報や成約物件情報などが記載されています。

査定額が高く算出されるケース

査定額が高く算出されるケースは、周辺に同じような物件が相場より高く出ている場合です。前項と同様、中古物件の販売価格は売主次第なので、売主の事情によっては相場以上で売り出すこともあります。特に、売主がゆっくり売却しても良い場合には高く売り出される傾向があります。

例えば以下のようなケースです。

  • 親から相続した物件(一戸建て)で、固定資産税も安い
  • その物件はすぐ近くにあるため自分で管理する事ができ、別途費用がかかることもない
  • そのため、売却までは時間がかかっても良いので、相場価格が4,200万円のところ、4,800万円で売り出している

このような物件が周辺にある場合、自分の物件の査定額は上がる傾向にあります。仮に、上記の物件が周辺にある時に相場より高めの4,400万円で売り出しても相対的に「安く」見えるからです。
勿論、これらのケースは不動産の売買だけではなく賃貸の時にも全く同じことが言えます。

築年数

つづいては築年数です。冒頭で言った通り、不動産は「土地」を除いて築年数が経過してくれば資産価値が下がってきます。そのため、当然ながら築年数が浅い物件の方が査定金額は高くなります。また、築年数による下落率は以下のような傾向があります。

69下落率

このように、築年数10年を境に下落率が大きくなっているのが分かると思います。そのため、築10年目などの、資産価値が下がりやすい「節目」を意識する必要があります。
築年数は5年を区切りとして節目として認識すると良いでしょう。

例えば、築9年と築11年、築14年と築17年であれば査定価格は全く違ってきます。これらは全て、購入検討者の心理が原因です。「築年数は10年以内」や「15年以内」など節目で絞ることが多いため、築年数の節目では査定価格は下落しやすいのです。

部屋の条件

つづいて、部屋の条件についてのお話です。部屋の条件は購入検討者の印象を直接左右しますので、査定額に響いてきます。

日当たり(向き)

まずは日当たりです。日本人は「南向き至上主義」が根強くあり、南向きを好む人が多いです。物件を選ぶときに「向き」という項目がある事からもニーズの高さがうかがえます。事実、新築分譲マンションの値付けをする時には、北向きと南向きの部屋では数10%の違いがあります。そのため、日当たりは査定額にも大きく影響を及ぼします。

日当たりは「向き」によって大きく左右されます。向きの人気は、南向きが断トツの一番人気で、次点で東向き、東向きよりやや少ない割合で西向きが続き、ダントツで不人気なのが北向きです。これらは、当然ながら「日当たりが良いか悪いか」という点が理由のランキングになっています。

しかし、大事なことは「向き」と言う点もありますが、本質的には「部屋が明るいか」と言う点です。つまり、向きが悪くても部屋が明るければ査定額は上がりますし、逆に向きが良くても部屋が暗ければ査定額は下がります。

部屋が明るいかは目の前が大事

普通に考えれば、南向きVS東向きであれば南向きの方が日当たりは良いです。そのため、南向きの方が不動産の査定額は上がります。しかし、向きと同じくらい大事な要素に「目の前がどの程度開けているか」という点があります。

部屋の中に入ってくる光の中の3割は光の反射であると言われています。つまり、直射日光が当たらなくても、目の前がどれだけ開けているかが部屋の明るさに影響を及ぼします。例えば、「数m先に建物があり目の前が開けていない南向き」VS「目の前が運河で100m以上目の前が開けている東向き」はどちらが明るいでしょうか。

感覚的に分かると思いますが、これは「目の前が運河で100m以上目の前が開けている東向き」の方が明るいです。このように、部屋の明るさは決して向きだけではなく、目の前が開けているかが大切という事です。

窓の大きさや形状、位置が大切

物件によっても部屋によっても窓の大きさは異なります。また、窓を設置するのは構造上の問題があります。当然、壁面よりも窓面の方が構造上は脆いため、自由に窓の位置や形状を決められるワケではありません。

そのため、向きが良くても、窓の位置が悪かったり形状が小さく光を取り入れられなかったりすると、部屋の明るさは確保できません。また、向きが悪くても部屋中大きな窓に囲まれていたり、光を取り込みやすい高い位置に窓があったりすると明るいです。

景観

つづいて、景観です。これは単純に「眺め」になります。眺めをどの程度求めるかはエリアによって異なります。避暑地や湾岸エリアなどは「抜群の景色」を求めますし、都心であれば「なるべく変な施設が目に入らない景色」を求めます。

前項と同様ですが、ここでも「目の前の建物」が大切になってきます。例えば、「お墓」や「ゴミ処理場」などの、いわゆる嫌悪施設が視界に入ったり、目の前にマンションがあったりする等の景観は、査定価格を下げる要因です。

周辺環境

購入検討者は周辺環境なども決め手の一つにしますので、周辺が住みやすい環境かどうかも査定価格を左右します。特に治安や子育て環境などを重視する方が多いです。これらを調べるのは色々な方法がありますが、不動産ポータルサイトなどのランキング※3を利用する方が多いです。

不動産会社は感覚的に「子育てに良いエリア」「教育環境に良いエリア」などという点は分かりますし、逆に「治安が悪いエリア」「自己の多いエリア」なども分かります。そのため、上述した築年数や部屋の条件以外にもこのようなエリア特性も加味されて査定価格は算出されます。

※スマイティ
http://sumaity.com/town/tokyo/

部屋の状況

最後に「部屋の状況」です。上述した通り、部屋の状況は利用方法によって大きく異なります。また、見学者がダイレクトに感じる「部屋の印象」なので、査定価格にも影響を与えます。ただ、「部屋の状況が良いから査定価格が上がる」というよりも、「部屋の状況が悪ければ査定価格は下がる」というようなイメージです。

なぜ部屋の状況が査定価格下落の要因かというと、「新築」との比較が理由です。中古物件を検討している方の多くは、新築物件を検討しています。新築物件は綺麗なモデルルームを用意している事がほとんどですので、どうしても中古物件は見劣りしてしまいます。

中古物件を検討する人は、ある程度、傷・汚れを想定していますが、やはり新築のモデルルームを見た後では中古物件の印象は良くありません。そのため、新築と比較する方が多い関係で部屋の状況が悪いと査定価格は下がる傾向があるのです。

賃貸についてはこのような「新築」の考えは関係ありませんが、部屋の状況が価値を左右するという点は同様です。

劣化具合

まずは室内の劣化具合です。築年数が経ってくると、例えば以下のような劣化が見られます。

  • クロゼットの扉が破損しており開けにくい
  • フローリングの巾木部分に破損が見られる
  • クロスに傷がついている
  • 電気のスイッチがへこんでいる
  • バルコニーの手すりがへこんでいる

これらは、使い方が丁寧かどうかで劣化具合は変わってきます。よほど大きな劣化でない限りは査定額が下がるという事はありませんが、査定額が下がる要素の一つではあります。

汚れ

部屋の汚れも査定価格を左右します。特に以下のような箇所は購入検討者が重視するポイントです。

  • クロスの黒ずみや傷・汚れ
  • フローリングに付着している汚れ
  • キッチンのシンクの水垢
  • トイレや浴室の水周りに関する汚れ
  • バルコニー床面の汚れ

「汚れ」も前項の「劣化」と同様、よほどの汚れが無い限りは査定価格が下がる事はありません。しかし、どうしても見学者の印象は悪くなりますので、知らないうちに検討度合いを下げているかもしれません。

そのため、自分で清掃しても落ちない汚れえ、且つ水周りなどの見学者が気にしそうなポイントであれば、クリーニング業者も検討してみてはいかがでしょうか。クリーニング業者は数万円程度から請け負ってくれるので、まずは見積もりを出してみましょう。

その見積もり額を足した物件金額で売却出来るのであれば、クリーニング業者という選択肢も有りです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回お話した内容が不動産の査定額を左右する要素の一覧になります。これらの項目の中では、自分ではどうしようもない部分はあります。例えば向きや景観などの部屋状況などは、自分ではどうしようもない最たる例でしょう。

しかし、例えば不動産市況を見極めたり、部屋状況を良くしたりは自分でも出来ます。多少手間は掛かりますが、場合によっては100万円単位で不動産価格は変わってきますので、手間を惜しまず自分で出来る部分は行いましょう。

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