空き家が危ない!空き家をそのままにするリスク・統計推移・空き家対策特別措置法や税金、処分にかかるお金についても公開!

現在日本では「空き家の増加」が社会問題となっています。いわゆる「空き家問題」ですが、空き家問題をそのまま放置しておけば、経済的な損失はもちろん、災害などのリスクもあります。

そこで、政府は空き家対策特別措置法など空き家を減らすためにさまざまな取り組みをしており、その取り組みは空き家所有者にも関係してきます。

この記事では、日本が抱える空き家事情や、空き家を放置するリスクなどを解説します。そして、その後に空き家を放置することで、空き家の持ち主にどのような不利益があるかも合わせて解説していきます。

目次

日本の空き家事情について

まずは、日本の空き家事情を解説します。日本の空き家に関しては以下の点を理解しておきましょう。

  • 空き家の推移
  • 空き家の種類
  • 空き家の築年数

以下より説明する、上記に関するデータを見てもらえると、空き家の数が多いだけでなく「リスクになる空き家」が多いということがわかると思います。

空き家の推移

まずは、空き家の数がどのくらいなのかを1983年からのデータで見ていきましょう。

  • 1983年:330万戸
  • 1988年:394万戸
  • 1993年:448万戸
  • 1998年:576万戸
  • 2003年:659万戸
  • 2008年:757万戸
  • 2013年:820万戸

空き家の調査は5年に1回なので、最新が2013年のデータですが、空き家の数はこの20年で1.8倍まで増加しています。

また、人口減少などを考えると空き家が減る要素はとくにないので、2018年の調査では更に空き家が増えているものと思われ、今後も増え続けると予測されています。

野村総合研究所※の調査によれば、2030年に、空き家は2,000万戸を超す可能性があるとのことです。2033年時点の住宅総戸数は7,130万戸を予想しているので、空き家が2,000万戸ということは30%以上の住宅が空き家になるということです。

※参考:国土交通省
http://www.mlit.go.jp/common/001172930.pdf

※参考:野村総合研究所
http://www.nri.com/Home/jp/news/2016/160607_1.aspx

空き家の種類

前項のデータで2013年の空き家は820万戸となっておりますが、空き家の種別内訳は以下の通りです。

  • 賃貸用住宅:52.4%
  • 木造一戸建て:26.8%
  • 二次的住宅:5.0%
  • その他(共同住宅など):15.8%

賃貸用住宅は空室になるタイミングもあるので、これはある意味仕方ないでしょう。ただ、今後人口減により、賃貸用住宅の空き家も更に増えてくると考えられます。また、二次的住宅とは別荘などのことなので、こちらは特段問題ありません。

もっとも問題視されているのが、木造一戸建ての空き家です。木造一戸建ての空き家は相続などで入手した空き家が多く、そのまま放置していることが問題視されています。

この点は、のちほどの「リスク」で詳しく解説しますので、とにかく木造一戸建ての空き家が多く問題視されている点をご理解ください。

空き家の築年数

建物を建築するときは、建築基準法という法律にもとづいて建築します。その上で重要なのが、昭和56年に改定された新しい建築基準法で、建物が建てられたかどうかです。

一般的には、昭和56年以降の建築物を新耐震、それ以前の建築物を旧耐震物件といいます

そして、2013年時点で空き家となっている一戸建て約320万戸のうち、約210万戸(約65.6%)が旧耐震の物件です。また、新耐震の物件でも、破損などがなく、簡易な手入れで活用可能な空き家はわずか48万戸(約15%)しかありません。

つまり、2013年時点で約270万戸の戸建てが、リスクのある空き家になっているということです。

空き家のリスク

さて、前項で空き家は増え続けており、さらに構造上問題のある、旧耐震の一戸建てが多いことがわかりました。そのような空き家を放置すると以下のようなリスクがあります。

  • 災害リスク
  • 犯罪リスク
  • 資産価値の低下リスク
  • 土地を再利用できないリスク

上記のようなリスクがあるため、空き家が増え続けることを懸念しているのです。

災害リスク

木造の空き家は、まったくメンテナンスをしていないと倒壊する危険性もあります。とくに、木造の場合は木材が腐食していたり、シロアリ被害に遭っていたりするので、物件によって倒壊リスクは高い場合があるのです。

また、木造で誰も住んでいない空き家は、仮に火災が起きたときはそのまま燃え続けてしまいます。その空き家だけで火が消えればまだいいですが、隣家まで延焼する可能性もあり、その点もリスクと言えるでしょう。

犯罪リスク

また、空き家が放置され続けると以下のような犯罪リスクもあります。

  • 放火
  • 空き巣
  • 不法滞在

空き家を放火されてしまえば、前項でいったような延焼リスクがあります。また、空き巣や不法滞在はその空き家だけの問題ではなく、街全体の治安が悪化するというリスクがあるのです。

資産価値の低下リスク

さらに、空き家を放置し続けると、その周辺にある物件の資産価値の低下リスクにつながります。

たとえば、閑静な住宅街にひとつだけボロボロの空き家があったら、その周辺に住もうと検討していた人はどう思うでしょうか?

ボロボロの空き家の前は、夜歩くのは怖いですし、上述した犯罪や災害リスクがあります。そのため、その周辺の一戸建てやマンションを検討していた人は、検討を見合わせたり値引き交渉をしたりする可能性があります。

逆にいうと、ボロボロの空き家があるエリアでは、物件を高く・早く売りにくいと思いえます。この点によって、資産価値が低下するリスクがあるということです。

土地を再利用できないリスク

最後のリスクは、土地を再利用できないリスクです。とくに、築年数が経過している一戸建ての空き家の場合、土地が非常に広い平屋の場合が多いです。しかし、空き家がそこに存在し続ける限り、その土地を再利用することはできません。

たとえば、その土地を月極め駐車場にすれば、周辺住民の生活利便性が上がるかもしれませんし、寮やマンションを建築することで人口が増えるかもしれません。さらに、ある程度広い土地であれば商業施設を建築できる可能性があります。

空き家があることで災害リスクや資産価値低下リスクというマイナスのリスクがあるだけでなく、このようなプラスの要素も潰しているというわけです。

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空き家への対策

さて、そんな空き家が増加していることにより、以下のような対策をしています。

  • 行政執行の強化
  • 課税の拡大
  • 売却時の優遇措置

上記の点は、空き家所有者は必ず知っておきましょう。空き家を放置するデメリットもありますが、逆に空き家を活用するとメリットもあるのです。

行政執行の強化

空き家の行政執行とは、簡単にいうと一定の条件を満たした空き家を、行政が主導して解体することができるということです。つまり、空き家を放置し続けると、行政が勝手に解体してしまう可能性があります。

これは、新たにできた「空き家等対策特別措置法」による法律にもとづく正当な対応です。もちろん、行政はすぐに解体するわけではなく、何度か通告をしたにも関わらず、その通告を無視し続けた物件が対象となります。

また、基本的には上述した「倒壊のリスク」など、近隣に迷惑がかかると判断された空き家のみが対象となります。もちろん、解体にかかる費用については、税金と同じ扱いで所有者に請求がいきます。

仮に、この費用が支払えない場合には、空き家を解体した後の土地は競売にかけられる恐れがあります。

しかし、競売にかけられると相場より遥かに低い金額になるため、解体費用を支払えるかはわかりません。そのため、最悪の場合には所有者の財産が差し押さえられてしまうのです。

※参考:NPO法人 空家・空地管理センター
https://www.akiya-akichi.or.jp/what/sochihou/subrogation/

課税の拡大

また、法改正により空き家のまま放置しておくと、固定資産税と都市計画税の優遇がなくなってしまいます。要は、これらの税金が増税されるということです。固定資産税と都市計画税とは、不動産の所有者に対してかかる税金です。

今までの優遇措置

今までは、土地に建物が存在すれば、固定資産税は以下のような優遇措置がありました。

  • 200㎡以下の部分:固定資産税が1/6、都市計画税が1/3
  • 200㎡以下の部分:固定資産税が1/3、都市計画税が2/3

この優遇措置の目的は、土地を土地のまま放置せずに「土地を活用しましょう」というものです。つまり、空き家の状態であれば土地を活用していないので、この目的沿わないということで優遇もなくなるというわけです。

対象となる物件

この優遇措置がなくなるのはすべての空き家ではなく、以下に該当する空き家です。

  • 倒壊など保安上リスクのある空き家
  • ゴミや異臭など有害な空き家
  • 適切に管理されていない空き家
  • 生活環境を乱している空き家

要は、上述したように、その空き家が存在することでリスクになる物件が対象というわけです。

このように、空き家を放置すると増税の可能性もあるので、空き家所有者はきちんと空き家を管理しておきましょう。

※参考:東京都主税局 空き家の税金
http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/info/tokuteiakiya.html

売却時の優遇措置

また、こちらは空き家所有者にとってはメリットになる「優遇措置」の話です。空き家を売却するときには、条件を満たせば以下のような優遇措置があります。

  • 3,000万円の特別控除の利用
  • 相続税を取得費にする

とくに、空き家を売却する場合に、3,000万円の特別控除を利用できるかどうかは大きいです。そもそも3,000万円の特別控除とは、家を売却したときの利益を3,000万円控除してくれる制度です。ちなみに、家を売却したときの利益には「譲渡所得税」がかかります。

つまり、売却益が3,000万円以下であれば非課税です。家の売却益が3,000万円を超えることは少ないので、3,000万円の特別控除を利用できれば、多くの物件は非課税になるでしょう。

※参考:国税庁ホームページ マイホーム売却時の特例
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm

3,000万円の特別控除の利用

本来、3,000万円の特別控除は自分が「入居していた家」の売却時しか利用できません。つまり、空き家には利用できないということです。しかし、法改正により、以下の物件は空き家の売却時も3,000万円の特別控除が利用できます。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された
  • マンションなど区分登記されていないこと
  • 相続開始において相続人以外が居住していないこと

上記の条件をクリアしていれば、特別控除を利用できるので利益が出ても問題ありません。もし、上述したように強制執行や増税のリスクがあるなら、早めに売却してしまった方がいいでしょう。

※参考:国税庁 売却の3,000万円控除の特例 空き家
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3306.htm

相続税を取得費にする

また、相続した空き家を売却したときに、以下の条件を満たしていれば相続税を取得費として計上できます。

  • 相続などの財産を取得した
  • 相続税が発生している
  • 相続の開始から3年以内に空き家を売却している

相続税を取得費として計上できれば、空き家の売却益を減らすことができるのです。そのため、前項の3,000万円の特別控除と組み合わせて利用することで、さらに税金がかかるリスクを低くできます。

※参考:国税庁 相続財産を譲渡した場合の特例
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3267.htm

空き家を上手に売却する方法

さて、前項までで空き家を放置するくらいなら、売却してしまった方がいいことがわかりました。しかし、空き家の売却は通用の売却とは異なる点が多いです。

そのため、空き家を高く・早く売るためには、以下のポイントを知っておきましょう。

  • 建物を解体するかどうか
  • 譲渡所得の「取得額」に注意

とくに、空き家ならではの「解体するかどうか?」は重要なポイントです。解体するかどうかで、購入検討者の検討度合いは大きく変わってきます。

こちらも参考に↓
中古物件を最高値で売る方法…。

建物を解体するかどうか

次に、建物を解体するかどうかを検討します。建物を解体するということは、解体費用は所有者が支払うということです。

木造の一戸建てであれば、解体費用は大体坪単価2~3万円なので、110㎡(33.2坪)であれば66万円~100万円ほどです。

仮に解体しない場合でも、築年数が古い空き家は結局購入者が解体します。そのため、解体費用にかかる金額は値引きされることが多いです。

そんな中、以下のような物件は建物を解体してから売却した方がいいでしょう。

  • ボロボロの空き家
  • 環境が悪い物件

ボロボロの空き家であれば、購入検討者の印象は一気に悪くなります。そのため、検討者の印象が悪くなる建物部分は解体してしまい、更地として売った方が売りやすくなります。

また、たとえば周辺を高い建物に囲まれている状態なども、土地で売った方が売れやすいです。なぜなら、土地だけで見学した方が陽当たり具合は確認しやすいからです。

譲渡所得の「取得額」に注意

先ほどいったように、一定の条件を満たせば相続物件の相続税は「取得費」として計上できます。「取得費」とは、その物件の購入金額や諸費用などの諸費用のことです。

住宅を売却すると、以下の式で譲渡所得を計算するので、取得費が低いと譲渡所得は高くなってしまいます。
計算式:「(売却価格-売却時にかかった諸費用)―(購入時のマンション価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用)」

取得費が高い場合

つまり、取得費が高ければ高いほど、譲渡所得が低くなり節税につながるということです。しかし、空き家が古ければ古いほど、取得費を証明する売買契約書やローンの償還表などの「資料」が見つからない可能性が高いです。

資料がない場合

もし、取得費を証明する資料が見つからなければ、取得費は「売却金額×5%」で計算されます。つまり、仮に800万円で売却した場合には、その物件を取得した時の金額は、わずか40万円(800万円×5%)になってしまうということです。

このような状況になると、譲渡所得がムダに上がってしまい、譲渡所得税が高くなってしまうということです。そのため、空き家を所有している人は、早急に取得額がわかる資料を探しておきましょう。

まとめ

日本で社会問題と化している空き家について、空き家所有者は以下の点を理解しておきましょう。

  • 空き家は日本で増え続けているのが現状
  • 空き家の多くは築年数の古い一戸建て
  • 空き家を放置すると災害や犯罪リスクがある
  • 空き家を放置すると税金が高くなるなどのデメリットがある

総じて言えることは、空き家は放置するくらいなら売却した方がいいということです。今後空き家を活用する予定があるなら所有してもいいですが、活用予定がないなら早急に売却することをオススメします。

こちらも参考に↓
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