マンションの価格と築年数は非常に深い関係があります。一般的には、築年数が古くなるほどマンションの売却価格は下がっていくので、築古マンションこそ上手に売却する必要があります。
マンションは一千万円単位の商品なので、上手に売ることで築古物件でも百万円単位の違いになることもあるのです。
そこで今回は、築年数が古いマンションの上手な売り方を解説します。実際にマンションを売るのは不動産会社の営業マンですが、売主の立場からも色々と協力することでマンションは売りやすくなります。
築年数が古いマンションのデメリットは?
まずは、築年数が古いマンションは、そもそもなぜ売りにくいと言われているか?を解説します。築年数が古いマンションの多くは、以下のようなデメリットがあるから売りにくいのです。
- 室内の劣化
- ランニングコストの増額
- 検索に引っかからなくなる
上記のように、単純に「室内の劣化」という点以外にも、もろもろの理由があります。まずは、自分の築古マンションは、上記のどれに該当するかを考えましょう。それに応じて、以下で解説する対策を講じる必要があります。
室内の劣化
まず、最も多い理由は室内の劣化でしょう。築年数が経過すると、実物であるマンションはどうしても劣化していきます。
ただ、その劣化が室内の劣化か外観の劣化か、またどのような劣化具合かによって対策は変わってきます。
室内の劣化の場合
室内の劣化の場合には、以下2通りの対策があります。
- クリーニング
- 補修
単純に室内が汚れているだけならクリーニングをする必要がありますし、傷などがあるなら補修する必要があります。
これは築浅のマンションでもいえることなので、室内の劣化がデメリットになりやすい築古マンションは、特に気にすべき点です。
クリーニング
フローリングなどのクリーニングはもちろんですが、一番重要なのは水回りのクリーニングです。水周りは汚れやすいですし、衛生面を気にする方が多いので、特に入念なクリーニングが必要です。
特に、築古マンションの場合は、どうしても落ちない水垢や油汚れもあると思います。自分で入念にクリーニングしたものの、どうしても汚れが落ちない場合にはクリーニング業者に依頼するという方法もあります。多少費用がかかりますが、その費用と手間の分高く売れれば問題ありません。
そのため、クリーニング業者に見積もり依頼をして、不動産会社と相談しつつクリーニング業者に依頼するか検討しましょう。
補修
また、フローリングの傷やクロスの破れなども、築古マンション特有のデメリットです。これらの補修も業者に依頼することは可能ですが、クリーニングより費用がかかります。そのため、まずは市販のリペアグッズなどを利用し、自分で行ってみることをおすすめします。
ただ、あまりに大きな傷などはさすがに難しいので、その場合は業者に依頼するか、その分値引きするなどで対応すると良いでしょう。
いずれにしろ、購入検討者も中古マンションは傷・汚れはあるものという認識がほとんどなので、ひどい傷でない限りはそのままで大丈夫です。
リノベーションは必要か?
最近リノベーションが流行っている影響で、「リノベーションしてからマンションを売却した方が良いか?」と検討する人がいます。結論からいうと、マンション売却前にリノベーションをする効果は薄いです。
なぜなら、仮に室内の全てをリノベーションした場合には100万円単位の金額になるので、その費用分を価格に上乗せするのは、築古マンションの場合は難しいからです。
また、仮に一部をリノベーションするにしても10万円単位の金額になるので、ただでさえ価格が低くなりがちな築古マンションでは価格の上乗せは難しいでしょう。
そのため、築古マンションを高く売却するという目的のためのリノベーションは、費用対効果が悪いので避けたほうが良いのです。
外観の劣化の場合
次に、外観の劣化です。外観とは、マンション全体のことであり、たとえば外壁や外部廊下、エレベーターや駐車場などの共用施設全般を指します。築古マンションの場合は、外観の劣化もデメリットになり得るので注意が必要です。
外観が劣化しているときの対策は以下のとおりです。
- 写真にこだわる
- 室内のメリットを最大限アピールする
室内とは違い、マンションの外観は入居者一人の力ではどうにもなりません。そのため、ほかの部分で勝負するのが得策です。
写真にこだわる
まず、写真にこだわることで集客増を狙いましょう。劣化している外観をそのまま広告に載せると、築古マンションのデメリットが大きくなるので集客が減ります。
そのため、撮影する角度、時間、天候などにこだわってもらい、少しでも外観がきれいに見えるように撮影することが重要です。
室内のメリットを最大限アピールする
とはいえ、写真がきれいなだけであれば、検討者が見学したとき「外観が写真よりも劣化している・・・」というネガティブな意見を持たれてしまいます。
そのため、室内の間取りや使い勝手など、外観は劣化しているものの室内は良い環境である点を伝えましょう。
たとえば、間取り図にアピールポイントを描いてもらったり、日中の日当たりが良い日時を中心に見学予約を入れてもらったりという工夫です。これらの工夫は営業担当者が行うので、事前によく相談しておきましょう。
ランニングコストの増額
次に、ランニングコストの増額というデメリットへの対策を解説します。ランニングコストとは、マンションの管理費・修繕積立金のことであり、この金額は変動することが多いです。
そのため、まずはランニングコストが増額する仕組みを知り、その後に対策を理解しましょう。
管理費が増額するケース
管理費が増額するのは、以下のようなケースのときです。
- 共用部の使用状況
- 管理会社の変更
駐車場や駐輪場などの使用料金は管理会計に組みこまれています。つまり、駐車場や駐輪場などの利用状況が予想を下回った場合には、管理費会計が不足するため管理費が上がる場合があるのです。
また、管理費用は管理会社への運営委託費用でもあります。そのため、管理会社の変更や、清掃頻度の変更などによっても管理費は上がるケースがあります。
修繕積立金が増額するケース
次に、修繕積立金が増額するのは、すでに長期修繕計画で決まっている場合が多いです。ほとんどのマンションには長期修繕計画というものがあり、その計画により以下のことが決まっています。
- 外壁の補修内容やタイミング
- 屋上の塗装のタイミング
- 外部廊下コンクリート部分の内容やタイミング
つまり、マンション全体の修繕計画が決まっているということです。その補修内容に沿って、「5年で○○%アップ」と決まっていることが多いので、管理規約集などで確認してみましょう。当初決めた金額通りに上がらない可能性もありますが、築古マンションの場合は既に上がっている可能性も高いです。
ランニングコストへの対策
さて、そんなランニングコストですが、特に修繕積立金が上がっている可能性は高いです。そのため、築古の上にランニングコストも高いという点を検討者が懸念する場合があります。
その対策として以下の点を理解しておきましょう。
- 共用部の使用状況の確認
- 長期修繕計画の提示
- 競合物件のランニングコスト比較
上から2つは売主しかできません。基本的に管理会社への確認には入居者だけですし、長期修繕計画書を持っているのも入居者だけだからです。競合物件も自分で調べることもできますが、不動産会社なら資料をもっているはずです。
共用部の使用状況の確認
まずは、共用部の使用状況の確認をしましょう。重要事項説明書にその共用部の想定稼働率が記載してあります。その稼働率を下回らければ、管理費は上がらないので、管理会社に今の稼働率をヒアリングして、その結果を購入検討者に伝えましょう。
長期修繕計画の提示
また、修繕積立金が上がっているということは、逆にいうときちんと修繕しているということです。そのため、長期修繕計画書を見せて、どの部分の修繕をいつ行ったかを説明できるようにしましょう。
また、約12年に1回の周期で行う大規模修繕は、細かく補修内容を盛り込んだ資料が配られます。
その資料にて、長期修繕積立金を利用した工事は、資産価値を守るための修繕工事であることをアピールしましょう。
要は、「修繕積立金が高い」という点をネガティブに感じてもらうのではなく、「資産価値が守られている」というポジティブな意見に置き換えるということです。
競合物件のランニングコスト比較
さらに、競合物件のランニングコストと比較することも重要です。同じくらいの築古マンションであれば、ランニングコストは同じ位の額になることが多いです。そのため、自分の売却するマンションだけ特別高いわけではないという証明になります。
また、競合の築古マンションのランニングコストが安いときは、大抵の場合修繕積立金の増額を入居者が拒否したときです。そのため、そのようなマンションは十分な補修ができていないケースが多いです。
検索に引っかからなくなる
最後に、「検索に引っかからなくなる」というデメリットへの対策です。マンションの購入検討者は「3,000万円以内」や「徒歩5分以内」などの条件を絞ります。
その中に「築15年以内」などの築年数に関する条件もあるため、築古であればあるほど、検索に引っかからなくなる可能性はどうしても上がってしまいます。
そのため、以下のように少しでも集客を増やし、また成約率を上げる工夫が必要です。
- 早い段階の検討者に注力する
- 大幅な値引き対応を加味した価格にしない
上記2点は、いずれに売主主導で行うことができます。
早い段階の検討者に注力する
マンションの購入検討者は、早い段階で来訪した方のほうが検討角度は高いです。というのも、早く来訪するということは、そのエリアでマンションが販売されるのを待っていたということだからです。
そのため、築古マンションで集客が少ないことが想定される以上、成約率の高いであろう早い段階の検討者は大事にしましょう。
仮に、無理な値引き交渉をされたとしても、早々に断るのではなく、根気強く交渉することが大切です。
値引き交渉を受けるかどうかは、最終的に売主が判断します。そのため、営業マンに交渉を粘り強くしてもらうかどうかは、売主の対応次第なのです。
大幅な値引き対応を加味した価格にしない
また、少しでも集客を増やすためには、売り出し価格の設定が大切です。中古マンションは、築年数に限らず値引き交渉されることは多いです。そのため、値引きを加味した上で、5%~10%程度の価格を上乗せした売り出しか価格にすることもあります。
たとえば、査定額が3,000万円であれば3,150万円~3,300万円程度で売り出すのがセオリーです。しかし、そうすると予算オーバーの人は集客できなくなるので、集客に苦戦しがちな築古マンションは、あまり値引きを加味した価格にしない方が良いです。
加味するとしても、1~2%程度に抑え、なるべく集客できるようにしましょう。売り出し価格も売主主導で決めるので、この辺りは売主の判断で決められます。
まとめ
このように、築古マンションが売りにくいのには、それなりの理由があります。まずは、その理由をきちんと把握し、それぞれの理由に応じての対策が必要です。特に、売主が主導で決める点は、売主の気持ち次第で何とでもなることです。
コメント