土地の価格を算出する指標として「公示地価」「路線価」「実勢価格」「固定資産税評価額」という4つの指標があります。1つの土地に対して異なる価格があるため、「一物四価」とも言われますが、この4つの違いを知っている方は意外と少ないです。
今回は、その中でも路線価と実勢価格についてお話します。
路線価とは?
まずは路線価についてのお話ですが、路線価を話す上では「公示地価」の説明をしなくてはいけません。
公示地価を知ろう
公示地価とは、一物四価の全ての基になる価値です。地価公示法という法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会という組織に専任された不動産鑑定士が現地を調査します。そして、毎年1月1日時点の価格を決めて、世間には3月に公表するという流れです。
路線価を知ろう
その公示地価を基に算出されたのが路線価になります。路線価は公示地価の80%程度の金額を目安に決定されます。そもそも路線価は相続税を決めるための評価額を算出する指標です。そのため、土地ではなく道路ごとに評価が決まっていて、その道路に面している土地の評価を、路線価を利用して評価額を算出します。そしてその評価額に相続税率を掛け、相続税額を算出するという流れです。
実勢価格とは?
実勢価格と時価、そして相場価格は同じ意味です。マンションであっても土地であっても、「今、実際に売れる金額はいくら?」という指標が実勢価格になります。公示地価と路線価との違いは、あくまで実際の取引を指標に決まりますので、価格の求め方が根本的に異なります。
路線価から実勢価格を割り出せるか?
結論から言うと、路線価の金額を基に実勢価格を割り出す事は出来ません。そもそも路線価は相続税の評価額を決めるための指標であり、前項で言ったように実勢価格とは根本的に目的が違うからです。
そのため、路線価と実勢価格、もっと言うと一物四価のなかでも「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」と「実勢価格」は別物と認識ください。
ただ唯一利用するとしたら、土地の価値を「比較」する時には利用する時があります。例えば、Aという土地とBという土地の価格差が妥当かを調べるために、路線価評価額を算出して比較することはあります。
路線価の算出方法
路線価の算出方法は以下のような流れになります。
- ①路線価を確認できるサイト※へ遷移し、自分のエリアを指定する
- ②「路線価図」をセレクトして、市区町村を指定
- ③地図が表記されるので、自分が調べたい土地をピックアップ
- ④面している道路に掛かれている数字を読み込む
というような流れになります。
※路線価図
http://www.rosenka.nta.go.jp/
路線価の計算方法
路線価記載の数字は千円単位になっています。「300C」という表記であれば、300千円となり30万円の事です。この30万円が1㎡あたりの路線価評価額になりますので、「300C」と表記された道路に面している100㎡の土地は「30万円×100㎡」となり3,000万円の路線価評価額になります。
借地権は計算方法が異なる
不動産には所有権と借地権という2つの権利形態があります。所有権は自分の持っている土地を自分用に使用している場合の権利です。借地権は、例えば土地を所有していて、その土地を第三者に貸している場合には借地権という権利形態になります。
借地権は自分で利用していないため、所有権よりは相続税が安くなり、上述した「300C」の「C」のアルファベット部分が関係します。下記の通り、借地権である場合には所定のパーセンテージが掛けられ、路線価評価額が下がります。
- A:90%
- B:80%
- C:70%
- D:60%
- E:50%
- F:40%
- G:30%
つまり、上述した例の「300C」という表記の100㎡借地権の土地であれば「30万円×100㎡×70%」となり2,100万円の路線価評価額になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。あくまで実勢価格と路線価は性質が異なるという点を理解頂けたと思います。また、路線価は簡単に調べる事ができるので、自分の土地を一度計測してみてはいかがでしょうか。ただ
、路線価は「奥行補正」や「二面以上の道路に面している場合」など特殊な計算法があるので、最終的には司法書士に算出してもらうことになります。
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