マンションなどの不動産を売却した時にはどんな費用、税金がかかるでしょうか?不動産は1千万単位の高額な商品のため、それに付随する費用や税金も高いものになります。この費用をしっかりと理解しておかないと予期せぬ出費が発生し、せっかく手間をかけて売却したのに損をしてしまう場合もあります。
今回は、そんな不動産の売却に伴い発生する費用、税金についてのお話です。
不動産売却にかかる税金
それでは、不動産売却にかかる税金から学んでいきましょう。税金については、大きく分けて「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」の3種類の税金がかかってきます。
印紙税について
印紙税は、経済取引などに関連して作成する文書に課せられる税金です。不動産の売買取引においては「売買契約書」に印紙税がかかってきます。印紙税は契約書に「印紙」と呼ばれる切手のようなものを貼付し、それを印鑑で割ることによって納税が認められます。逆に言うと、印紙が貼付されていない、もしくは貼付されていても割印がされていない売買契約書は公的な契約書類とは認められないということです。
印紙税の税額は以下の通りになります。()内は2016年5月時点で軽減が適用されている金額です。記載の物件金額(左側金額)は全て税抜き物件価格です。
- 「500万円から1,000万円以下」 →「1万円(5千円)」
- 「1,000万円から5,000万円以下」→「2万円(1万円)」
- 「5,000万円から1億円以下」 →「6万円(3万円)」
- 「1億円から5億円以下」 →「10万円(6万円)」
※参考 国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/08/10.htm
登録免許税について
つづいて、登録免許税です。一般的には登記関係費用と呼ばれ、「この不動産の所有権は私にあります」という所有権の登記をしたり、「この不動産は当社が担保にしています」という抵当権を設定したりする、「登記時」にかかってくる税金になります。
・所有権移転登記
不動産を売却したら、購入者に所有権を移転する必要があります。自分の名義から購入者側の名義に書き換える時に所有権移転登記を行い、それに伴い登録免許税がかかってきます。
・抵当権抹消登記
住宅ローンを借りて不動産を購入している場合には、担保の証明として、「抵当権」という権利を金融機関は対象不動産に付保します。その抵当権は、購入者へ不動産を引渡する前に抹消しておく必要があります。その抵当権を抹消する際に登録免許税が掛かってきます。
・司法書士報酬
この費用は税金でありませんが、登記関係費用に含まれますのでこちらに記載します。上記の「登記」は誰でも行う事ができますが、書類作成や手続きが煩雑で専門性が高いため、大抵の場合は司法書士に委任します。その司法書士に支払う報酬も不動産の売却に伴い発生する諸費用です。相場としては大体3万円~5万円程度です。
上記の登記関係費用については10万円~20万円程度が一般的です。登録免許税額については不動産価格によって上下します。税率の詳細は下記ホームページでご確認ください。
※参考 国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7191.htm
譲渡所得に関する税金について
不動産を売却して利益が出た場合には、その利益に対して税金がかかります。つまり、不動産売却益に関して税金が掛かるということですが、この税金はあまり知られていません。理由は控除される額が大きいので、ほとんどの場合、税金は掛からないからです。
不動産売却に伴う利益(譲渡所得)を算出する計算式は、少々複雑なものになっています。譲渡所得の計算式は、「マンション売却価格―(購入時のマンション価格-減価償却費用)-購入時にかかった諸費用-売却時にかかった諸費用)」となります。
考え方としては、「マンションを売って出た利益に、『マンションの築年数が経ち劣化した分(減価償却費用)と、マンションを買う時、売るときにかかった費用』を引いて良いですよ」という事です。
例えば、以下のような条件でマンションを売却したときの譲渡所得の計算方法です。
- 売却価格5,000万円
- 売却時の諸費用(仲介手数料)200万円
- 購入時価格4,300万円
- 減価償却費用(鉄筋コンクリート造、新築購入 築10年)634万円
- 購入時の諸費用(借り入れ時の手数料や登記費用など)万円170万円
「マンション売却価格―(購入時のマンション価格-減価償却)-購入時にかかった諸費用-売却時にかかった諸費用)」に照らし合わせて、
「5,000万円 ―(4,300万円 - 634万円)- 170万円 - 200万円」
となり、「964万円」が譲渡所得となります。
上述した通り、譲渡所得税には大きな控除額があります。簡単に言うと、居住用不動産であった場合に限り、「3,000万円」までは税金がかからないという内容になります。つまり、前項で算出した964万円の譲渡所得については、控除の条件に該当すれば譲渡所得税は掛からないという事になります。
この控除の条件は居住年数や広さなど、様々な要件が絡むため、税率と共に、詳細は下記のホームページより確認ください。不動産は居住用不動産である事が一般的で、売却をしても3,000万円以上の利益が出ることは少ないため、「マンションを売った利益に税金がかかる」という認識が薄いのです。
※参考URL 国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm
仲介手数料について
税金以外に掛かる諸費用については仲介手数料が挙げられます。
仲介手数料の税率は物件価格によって異なります。一般的には「3%+6万円」というイメージがあると思いますが、それはこの「3%+6万円」という税率が、以下のように一般的な不動産価格の税率だからです。
- 物件価格(税抜き)が200万円以下の場合「5%」の手数料
- 物件価格(税抜き)が200万円超~400万円以下の場合は「4%+2万円」の手数料
- 物件価格(税抜き)が400万円超の場合は「3%+6万円」の手数料
手数料はあくまで「上限」になりますので、これ以下であればいくらに設定しても問題ありません。最近では、「手数料1%」などの不動産会社も出てきておりますが、一般的には手数料の上限一杯で請求する不動産会社がほとんどです。
注意点としては、仲介手数料には消費税がかかるという点です。例えば、税抜き3,000万円の物件を売買した時には、「3,000万円×3%+6万円」の手数料に消費税の8%をプラスした「1,036,800円」が仲介手数料の総額になります。
仲介手数料は100万円単位の費用のため、消費税とは言え大きな金額になるので注意しましょう。
引越し費用など
その他にかかる費用としては引越し費用や家財・家具の処分費用が挙げられます。引越し費用も会社や規模によりますが、10万円単位で掛かってくる費用です。特に時期や会社、サービス内容により金額は大きく変わってきますので、事前に準備をしておきましょう。
他には大型家具などの撤去・処分費用です。あまりに大きな家具などは業者を呼んで処理をしなくてはいけないので、こちらも早めに連絡をして、処分費などは算出しておきましょう。
まとめ
不動産の売却に関わる費用については概ね以上の項目になります。これらを不動産会社が提示してくれる金額になりますが、諸々の条件によってブレてきますし、引越し費用など不動産会社に関係ない部分については当然自分で準備しておかなければいけません。
早めに連絡、準備をしておいて「いつ」「何が」「どの程度」の費用になるのかは把握した上で、不動産の売却に臨みましょう。
※2016年5月執筆。記載の税率や控除などは時期によってことなります。詳細は各ホームページをご覧ください。
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