不動産価格は景気の影響を非常に受けやすいです。不動産価格自体が、買い物の中で最も高額な商品である点がまず挙げられます。後は、わざわざ景気が悪い時に、自分達の生活費で手一杯の中で不動産を買う必要がないからです。2016年現在の不動産市況で言うと、好調であった市況が少し陰りを見せている状況です。
特にタワーマンションなど、富裕層向けのマンション価格は下落する可能性があります。そのリスクを説明し、「売るなら今が良い」という理由をお話します。
現在のマンション価格
タワーマンションが今後下落するかもしれない点を話す上では、まず現在のマンション価格の推移を説明する必要があります。
新築マンション価格
まずは新築マンション価格の推移からご説明します。下表のグラフ※1を見て頂けると分かると思いますが、首都圏の新築マンション平均価格(平成26年時点)は直近10年の中でも高い水準にあります。
また、国交省のデータではこれが最新ですが、不動産経済研究所の発表によると平成27年度も過去最高を記録しています※2。近畿圏を見ても首都圏と全く同じ現象が起こっているので、今、新築マンションの価格は非常に高い水準にあるという事です。
※1国土交通省
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
※2不動産研究所
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/235/z2015.pdf
中古マンション価格
つづいて中古マンション価格の推移です。中古マンションは基本的には新築マンション価格を追随しますので、新築マンション価格に連動する事が多いです。下表※3のように、特に首都圏の中古マンションを中心に、中古マンションも過去10年で高い水準に位置しています。
※3東京カンテイ
http://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/c2015.pdf
なぜマンション価格が上がっているか?それは受け入れられているのか?
では、なぜ今マンション価格が上がっているのでしょうか。色々な要因がありますが、以下2つの要因が主な要因です。
- オリンピック景気
- 円安による外国人投資家の爆買い
この2点について次項より説明していきます。
オリンピック景気について
オリンピック景気と言っても具体的にどんな点が原因で景気が上向いたのでしょうか。以下のような要因が考えられます。
- 建築需要による資材と人件費の高騰(建築費上昇)
- 財政出動による景気循環、消費者マインドの向上
この二点の要因が強いと考えます。
建築需要による資材と人件費の高騰(建築費上昇)
オリンピックの開催が決定したことにより、競技場の建設をはじめとした様々なインフラ設備の工事が必要になりました。そうなると、建築資材と職人の需要が高まるため、資材と人件費が高騰します。それにより建築費自体が上がりマンション価格にダイレクトに影響してくるのです。
また、先に起きた東日本大震災の復興と中国のミニバブルにより建築物の増加も建築費を押し上げる要因となっています。事実下表※4のように建築費は高騰しています。
※4国土交通省
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
財政出動による景気循環、消費者マインドの向上
アベノミクスの3本の矢にも含まれています財政出動が、上記のオリンピック誘致もあり、スムーズに行われました。そのため、円安株高の流れになり日本全体としての景気が上向いてきました。
事実マンション価格が高水準にもかかわらず、下表※5のように契約率は好不調の境目である70%を平成22年からは上回っています。
※5国土交通省
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
円安による外国人投資家の爆買い
つづいて、「円安による外国人投資家の爆買い」です。上述した通り、まずはオリンピック誘致が決定したこと(先の東日本大震災と中国のミニバブルも要因の一つ)を中心に建築費が高騰しました。そして、マンションの契約率を見て頂くとお分かりの通り、消費者はその高水準のマンション価格を受け入れました。
外国人から見ると日本の不動産は安く見える
もう一つの主な要因としては日本人以外の外国人が、マンションを購入しているという点があります。アベノミクスにより円安誘導が成功し、外国人から見ると日本のモノは安く見えます。
つまり、マンション価格も外国人からすると円安になった事により安く見えるのです。確かに日本では高水準のマンション価格ですが、一時期は1ドル70円台まで円高が進んだ為替も2015年には最大で120円台まで円安が進行しました。単純に考えて40%以上日本のモノは外国人にとっては安く見えます。
例えば、1ドル78円の時には日本で5,000万円するマンションは64.1万ドルしました。一方円安が進み例えば1ドル120円のときには41.6万ドルになります。
特にタワーマンション需要が増える
このように円安により日本のマンションは外国人から見ると安く見え、更に外国人にメジャーな地である渋谷や六本木などの都心部のマンション価格は上がりました。都心部はタワーマンションが比較的多いので「日本の有名な場所」を好む外国人は自ずとタワーマンションを購入する事が多くなります。
そうなると必然的に新築も中古もタワーマンション価格が上がっていきますので、マンション価格の全体相場をタワーマンションが押し上げるという構図になりました。
直近の消費者マインドと今後建の築費について
それでは、直近の消費者マインドと建築費を見ていきましょう。
直近の消費者マインド
先ほどマンションの契約率を基に「高水準の価格が消費者に受け入れられている」と言う説明をしました。しかし、2015年の後半からもその風向きも変わりつつあります。
下表※6のように2015年の後半から2016年前半にかけては、契約率の低下が顕著に見られます。2015年9月~2016年4月を見ると8か月中6か月が好不調の境目である70%を下回っているという結果です。これはリーマンショック後で市況が冷え込んでいた2009年以来の低水準になっています。
このように、マンション価格は未だに高い水準にありますが、それに消費者が段々と付いて行けないという点が分かると思います。
※不動産経済研究所データより抜粋して作成
http://www.e-sumaisagashi.com/new_page_125.htm
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/245/s201604.pdf
今後の建築費
先ほど言ったように建築費の高騰は以下の項目が要因でした。
- オリンピック景気
- 東日本大震災
- 中国のミニバブル
しかし、この3つの要因は現在もしくは今後以下のようになると予想されます。
- オリンピック景気→大方の目処は立ったため今後爆発的に建築需要が増す可能性は低い
- 東日本大震災→復興の目処は立っている
- 中国のミニバブル→収束を迎え落ち着いてきている
つまり、今後建築費が上がる可能性は低いという事です。
タワーマンションを買わない方が良い理由、今が売り時の理由
今までの話しを整理すると以下のような話になります。
- 現在マンション価格は新築・中古ともに高い水準である
- 建築費も高騰しており、それもマンション価格を押し上げている大きな要因
- 2015年前半までは消費者マインドは高かったが、2015年後半辺りから消費者マインドは低下傾向にある
- 特に円安による中国人をはじめとした外国人のタワーマンション爆買いが目立っていた
- 建築費も今後上がる可能性は低い
つまり、今後は建築費も落ち着いてきて消費者マインドも低下する可能性が高いです。そのため、マンションを分譲するディベロッパーは価格を下げてくる可能性があります。そうなると中古価格も連動して下がります。外国人の爆買いで特に高騰したタワーマンションの下落率は高くなると考えられます。
そのため、マンション全体、特にタワーマンション価格は下がる可能性があるのです。だからこそ、まだギリギリ高水準を保っている今売却するべきなのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。現在のマンション価格と今後の予想が理解頂けたと思います。勿論、更に不動産市況が良くなり、マンションの価格が上がる可能性もあります。しかし、少なくとも「今」マンションは高水準で推移しているので、マンションを売却することは間違った選択ではありません。
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