家・マンション(不動産)相続に必要な書類や費用、注意点と、相続後の活用方法などまとめ

家やマンションなどの不動産を相続した時には、様々な注意点があります。不動産は、現金や株などとは違い様々な活用方法があるからです。売却することも出来ますし、貸し出すことも出来ますし、どちらの選択肢もとらずに一旦放置する事も出来ます。

但し、不動産は所有しているだけで税金や管理費用がかかってくるので、活用方法を間違えればコストを無駄に払うことにもなりかねません。今回は、そんな不動産の相続に関して、必要な費用や注意点などをお話していきます。

目次

相続税について

相続税評価額について

現金であればその額面通りの金額が相続税評価額になりますが、不動産は少し違います。まず、宅地に関しては「路線価」と呼ばれる指標を使います。路線価を仕様し、その道路に面している土地の相続税評価額を割り出し、そこに相続税の税率を掛けて計算します。目安としては時価の役8割程度です。「家屋」に関しては固定資産税の評価額を使い相続税を計算します。目安は時価の4割程度です。

税率と控除について

税率については相続税評価額によって異なりますので、詳細は国税庁ホームページ※をご覧ください。
相続税の税率は他の税金と比較をすると「高い」です。例を挙げると、相続税評価額が3,000万円超~5,000万円までの税率は20%(控除額除く)という大きな税率が掛かってきます。

但し、税率が大きいため、基礎控除額が他の税金と比べると大きな額になり、「3,000万円+法定相続人×600万円」となります。例えば、法定相続人が3人いれば、3,000万円+600万円×3人の「4,800万円」までは相続税がかからないという計算になるということです。

※参考URL 国税庁ホームページ「相続税の税率」
出典:https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4155.htm

相続税以外にかかる費用は?

不動産を相続するとどのような費用が掛かるのでしょうか。

相続登記費用(登録免許税)

不動産の所有者名義を書き換えるための登記費用になります。具体的な費用としては登録免許税と呼ばれる税金がかかり、相続対象の不動産の「固定資産税評価額×0.4%」の金額になります。

司法書士報酬料

上記の登記手続きは、基本的には司法書士に依頼します。その司法書士に支払う費用です。司法書士事務所によっても金額は異なりますが、一つの案件につき3万円~5万円程度の費用がかかります。

その他証明書など

その他にも登記事項証明書や相続するために必要な戸籍謄本などを取得する必要があります。
それらは全て合わせて数千円程度です。但し、戸籍や謄本などの取得を代行すると代行費用が別途かかってきます。

※参考URL 国税庁ホームページ「登録免許税の税額表」
出典:https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7191.htm

相続し活用するか、売却してしまうか?

不動産を相続した時に、その不動産を活用するか、売却してしまうか迷う方もいると思います。そんな方のために、それぞれの特徴や掛かる費用をご紹介します。

不動産を相続して活用する方法

そもそも不動産を活用するとはどういう事でしょうか?例えば、マンションや戸建てを相続した場合は、そこに「居住する」ことや「賃貸まわし収益を上げる」ということが考えられます。土地の相続であれば、そこに建物を建築して、「居住」「賃貸」として活用する。もしくは、例えば駐車場に用途を変更して収益を上げるなどの活用方法もあります。

不動産を活用する上での注意点

前項のように、不動産を「賃貸」や「駐車場」などで活用する際には、「本当に利益が生まれるか?」をキチンと精査しましょう。不動産会社に相談するのが基本的なやり方ですが、不動産会社任せにしてはいけません。

例えば、賃貸にする場合でも、「賃料の設定はどの程度か?」「賃料設定は周辺の実例に即しているか?」「何を経費として計上できるか?」「確定申告の基本は知っているか?」など、最低限の知識は学んでおきましょう。会社経営者でもない限りは確定申告も初体験でしょうし、税金やランニングコストなどが掛かってくるので、上手く運営しなければ赤字になってしまいます。

相続した不動産を売却する時にかかる費用

相続した不動産を売却する時には様々な費用が掛かります。

譲渡所得税

相続した不動産を売却した際に利益が出た場合は、譲渡所得税を支払う必要があります。
計算式は、「(売却価格-売却時にかかった諸費用)―(購入時のマンション価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用))」の金額に、譲渡所得税率を掛けた金額になります。

例えば、以下のようなマンションを売却した時の譲渡所得は計算してみましょう。
→売却価格5,000万円
→売却時の諸費用(仲介手数料や抵当権抹消費用など)180万円
→購入時価格4,000万円
→減価償却費用530万円
→購入時の諸費用150万円
「(5,000万円-180万円)-(4,000万円+150万円-530万円)」となり、譲渡所得は1,200万円です。この1,200万円に譲渡所得税率を掛けます。

仲介手数料

不動産会社に以下の割合で仲介手数料がかかります。
不動産価格が200万円以下の場合は「不動産価格×5%」の手数料。
不動産価格が200万円超~400万円以下の場合は「不動産価格×4%+2万円」の手数料。
不動産価格が400万円超の場合は「不動産価格×3%+6万円」の手数料。

登記費用

所有権を購入者に移す所有権移転登記費用や、金融機関から借り入れを行っていれば抵当権抹消費用が掛かります。その手続きを依頼する司法書士への報酬も合わせて、5万円~10万円程度の費用が発生します。

※参考URL 国税庁ホームページ「譲渡所得」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/jouto.htm

土地を相続し持つとどんな固定費がかかる?

土地を相続して所有すると、「固定資産税」「管理費」が掛かってきます。固定資産税とは、その年の1/1に所有権を有している人に掛かってくる税金です。国が定める固定資産税評価額の1.4%が固定資産税額になり、毎年書面にて通知が来ます。

管理費については掛からない場合もあり、本人の自由です。土地は放っておくと草が生い茂ったり、不法投棄をされたり、ひどい場合には関係ない建築物が置かれたりします。定期的に自分で見回る事が出来れば良いですが、遠方などの場合は不動産会社に管理を依頼することがあります。その際にかかってくる費用です。不動産会社や管理方法によって金額はマチマチですが、年間数万程度の金額であることが多いです。

※参考URL 東京都主税局ホームページ
http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/kotei_tosi.html

不動産譲渡における相続放棄

相続した不動産を放棄する時のお話です。どのような時に相続放棄をするのか、またどのような手続きを踏めば放棄できるのかについてご紹介します。

どんな時に相続放棄をするか?

せっかく、不動産が手に入るので放棄なんてするのか?と思う方もいると思います。しかし、上述したように不動産は所有しているだけで税金をはじめ、様々な費用が掛かってきます。もし、その不動産に借金(住宅ローン)が残っている場合には、そのローンの返済義務は相続した人に受け継がれます。それ故、固定資産税が高すぎて割に合わない場合や、ローンが返済額が大きすぎて支払えない場合には相続放棄をすることもあります。

どのように相続放棄をするのか?

相続放棄をする場合には、「相続を放棄します」と宣言するだけでは出来ません。家庭裁判所へキチンと申請し、相続放棄申述受理証明書という書面を発行してもらう必要があります。注意点としては、「相続から3か月以内の申請」という点です。もし、相続放棄を検討していたら期間には気を付けましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。不動産を相続するときに何に注意するべきかを、お分かり頂けたと思います。不動産は他の資産と違い、持っているだけで費用が掛かり、ローンなどの負債も一緒に相続する場合があります。税金なども絡んでくるため、専門家と相談しながら相続を進めていくことをお薦めします。

※2016年5月執筆。記載の税率などは時期によって変更になる場合があります。詳細は記載の参考URL等も併せてご確認ください。

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